ブログ担当の、通関士/EPA関税認定アドバイザーの中川です。
日々の業務や、経験したことを通して、”通関””貿易”の世界を、分かりやすく紹介したいと思います。
堅苦しいイメージから、もっと身近で、興味をもってもらえればと思います。
奥深い通関・貿易の世界。その沼に皆さんもハマりますよ。
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2026年02月12日(木)
通関士ニュース
【第1回目:HSコードって何?】
HSコード


ミラノ・コルティナ冬季オリンピックが開催されています。(2026年2月6日~2月22日)
開会式のテーマは、「Armonia(アルモニア/調和・ハーモニー)」との事です。
分断と憎しみを耳にする最近の世界にとって、団結と他者へのリスペクトが見てとれるオリンピックは、共感するものがあります。
日本勢のフィギュアスケート団体での、チーム一丸となって励まし、喜びあう姿は、感慨深いものがありました。
さて、今回は、HSコードについてご説明していきます。
貿易を行うにあたって”HSコード”はとても重要なワードです。
今回は、オリンピックが開催されているイタリアから、生地を輸入した場合の例もあげ、2回に分けてご説明したいと思います。

HSコードは「世界の共通言語」
貿易の世界では、日々膨大な種類の「モノ」が国境を越えています。車、機械、衣類、そして「生地」……。
これらを言葉だけで説明しようとすると、国や言語によって解釈が分かれてしまい、正確な統計や関税の計算ができません。
そこで考案されたのが、あらゆる「モノ」を数字で表す世界共通のルール、HSコード(Harmonized System Code)です。
ベルギーのブリュッセルに本部を置く、世界税関機構(WCO)が管理しており、現在では世界のほとんどの国がこのシステムを採用しています。

数字の並びには意味がある
HSコードは最大10桁程度の数字で構成されますが、実は6桁までが世界共通です。

1〜2桁目(類): 大きなカテゴリー(例:51類は羊毛など)
3〜4桁目(項): 中カテゴリー
5〜6桁目(号): 小カテゴリー

6桁まではどの国でも同じものを指すため、まさに「貿易の共通言語」と言えます。
7桁目以降は、各国の統計や関税率の設定のために独自に定められた数字(日本では9桁となり「統計品目番号」と呼びます)が続きます。

なぜHSコードが重要なのか?
申告時に、このコードを間違えると大変なことになります。
HSコードによって、「いくら関税がかかるか(関税率)」や、「輸出入する際に特別な許可が必要か(他法令)」が決まるからです。
もし間違ったコードで申告してしまうと、税金の過不足が生じたり、最悪の場合は通関がストップして貨物が届かない……というトラブルにも繋がりかねません。
関税の支払いは輸入者です。我々にとってのお客様です。また、我々がお客様の貨物全てに精通していないのも事実です。
トラブルを防ぎ、お客様にご迷惑をかけないためにも、HSコード採番の為の、詳細な貨物情報が必要になってくるのです。
次回は、具体的な事例として「イタリア産のウール100%生地」を輸入する場合、どのようにHSコードが決まるのか、その「パズルの解き方」をご紹介します。


2026年01月30日(金)
通関士ニュース
「原産地証明書(C/O)」って何?EPAのキホンを解説!
certificate of origin


前回、RCEP(地域的な包括的経済連携協定)についてお話ししました。
現在、日本は様々な国や地域とEPA(経済連携協定)やFTA(自由貿易協定)といった国際的な取り決めを結んでおり、その数は広がりを見せています。
これらの協定を活用する上で非常に重要なキーワードが、今回ご紹介する「原産地証明書(C/O)」です。
前回のブログでは触れておりませんでしたので、今回はこの重要な書類について解説していきます。
HSコードについては次回ご説明することとして、早速本題に入りましょう。

原産地証明書(Certificate of Origin - C/O)とは?
原産地証明書(C/O)は、輸出入される貨物が特定の国や地域で完全に生産、製造、または加工されたことを証明する書類です。
いわば、貨物の「国籍」を証明する重要な書類と言えます。

なぜ必要なの?メリットは?
主な目的は、EPA等の国際協定を利用して、輸入時の関税の優遇措置(減税または免税)を受けるためです。
その貨物が協定の対象となる「原産品」であることを税関に証明するために、この証明書が必要となります。
※ 原産地証明書(C/O)は、原産地規則・品目別規則といったルールを満たしている必要があります。
※ 輸入者は、税関から原産地証明書の内容に関して、説明を求められる場合があります。

最大のメリットは、原産地証明書を輸入国の税関に提出することで、通常よりも低い協定税率(EPA税率)が適用され、結果としてコスト削減につながる点です。
ただし、「例外」もあります。例えば、課税価格が20万円以下の場合や、物品の性質・形状から原産地が明らかな場合など、一部提出が不要となるケースもあります。
(出典:税関 カスタムスアンサー「1502 特定原産地証明書について」。及び、関税法基本通達68-5-7より。)

誰が発行するの?
原産地証明書には、いくつかの種類と発行方法があります。
・第三者証明制度:日本国内では、商工会議所が、輸出者の申請を受け発行します。
・自己証明制度:RCEPやCPTPPなど一部のEPAでは、協定の締約国の輸出者や輸入者自身が原産性を証明できる「自己証明制度」も導入されています。
・認定輸出者制度:RCEPなど一部のEPAでは、当局より「認定輸出者」としての認定を受けることで、自ら原産地申告書(第二種特定原産地証明書)を作成できます。
日本に輸入される貨物に対しては、輸出者が現地の発給機関に申請し、発行されるのが一般的です。

まとめ
今回は、EPA(経済連携協定)を活用する上で欠かせない「原産地証明書(C/O)」について解説しました。
・C/Oは、貨物の「国籍」を証明する重要な書類です。
・最大の目的は、輸入国での関税優遇措置(減税・免税)を受けることで、コスト削減に直結します。
・発行方法は「第三者証明制度」(商工会議所)と、RCEPなどで導入されている「自己証明制度」「認定輸出者制度」があります。
適切に原産地証明書を活用することで、スムーズかつコスト効率の良い貿易が可能になります。

※我々のような通関業者が、代理で商工会議所に申請したり、自己証明書を作成することはできません。
次回は、原産品判定の基礎となる、「HSコード」について詳しくご説明します。
HSコードは通関業務において非常に重要な分類コードですので、ぜひご覧ください!


2026年01月19日(月)
通関士ニュース
RCEP(地域的な包括的経済連携)を利用してみたい!
RCEP2


明けましておめでとうございます。
新年早々、ベネズエラやグリーンランドに関するニュースが入り、米国の孤立主義的な動きが注目されます。
今回は、その考えとは逆の思考ともいえる、RCEP(Regional Comprehensive Economic Partnership=地域的な包括的経済連携)について、お話ししたと思います。
RCEP(アールセップと呼びます)は、以前ご説明した通り、非常に大きな経済圏を擁する経済連携協定です。

RCEP締約国は何か国?
2026年1月現在での締約国は、以下の15カ国です。
ASEAN加盟国(10カ国): ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム。
ASEAN以外(5カ国): 日本、オーストラリア、ニュージーランド、中国、韓国。
日本にとって、非常に意義深いのが、中国、韓国との初めてのEPA(経済連携協定)だということです。
※ 2025年12/11の当ブログでもご紹介しましたが、日本にとって最大の貿易パートナーは中国です。

また、RCEP以外のEPAは、締約国以外の主原料を用いた場合(第三国原料)適用が認められませんが、RCEPの場合、締約国以外の主原料を使用しても適用できる点がユニークです。

具体的な事例
実は私、20年ほどアパレル業界におり、転職後の現在も、アパレル輸入業務を扱う機会が多いです。そこで、アパレル商品について事例を挙げてみます。
ベトナムで女性用ジャケット(HSコード6204.33)を生産し、日本に輸入するケースで、関税率の事例をあげます。

事例1 日本製の布帛生地を主原料として生産した場合。
・日ベトナムEPA→関税率はFREE(0%)
・RCEP→関税率はFREE(0%)

事例2 中国製の布帛生地を主原料として生産した場合。
・日ベトナムEPA→中国製生地を使用しており適用不可→その為、協定税率(関税率)9.1%
・RCEP→適用可能。関税率はFREE(0%)

事例3 台湾製の布帛生地を主原料として生産した場合。
・日ベトナムEPA→台湾製生地を使用しており適用不可→協定税率(関税率)9.1%
・RCEP→適用可能。関税率はFREE(0%)

※今回はブログ用に簡略した例をあげています。協定ごとに、原産地規則・品目別規則といったルールが定められており、それらを満たしたケースであることを前提にしています。
全てを網羅する例ではなく、個別案件は必ず専門業者にご相談ください。

※日ベトナムEPAは、RCEP以外の、日本とベトナム間で締結されているEPAです。
※どのEPAも適用せずに、HSコード6204.33を日本へ輸入した場合→協定税率(関税率)9.1%です。

まとめ
上記のように、生産背景によって、それに適したEPAを利用することにより、輸入関税の最適化を行う事が可能です。
同じRCEPであっても、輸出国が中国・韓国・それ以外では、日本での税率や、適用できないHSコードがあり、注意が必要です。
また、RCEPは年度ごとに税率が下がる”ステージング方式”をとっていますので、そのあたりも留意する必要があります。
※ステージング方式=特定の品目について関税を即座に撤廃するのではなく、数年間にわたって段階的に引き下げていくスケジュールの事。
RCEPを利用したいとお考えの方は、事前に我々のような専門業者にご相談されることをお勧めいたします。
如何だったでしょうか?

関税率を見る場合、基礎になるのは、HSコード。税番です。
ではこのHSコードとは何でしょうか。
次回は、HSコード・税番についてご説明したいと思います。