先日、名古屋税関を訪れた際、エントランスに置かれていた通関士試験の応募用紙が目に入りました。
「もうそんな時期か」
そう思いながら要件を済ませて帰る途中、今度は別のことを思い出しました。
大学生の息子が、先日「もうすぐインターンシップが始まる」と話していたのです。
通関士試験を考える人もいれば、これから就職活動を本格的に始める人もいる。
立場は違いますが、どちらも将来に向けて「何かを始めよう」とする時期なのかもしれません。
この春に入社した新入社員の皆さんの中にも、会社から「通関士の勉強をしなさい」と言われながら、「この調子では今年の試験には間に合わないかもしれない」と感じている人がいるかもしれません。
また、これから通関業者を目指して就職活動を始める学生の皆さんの中にも、「今のうちに何か勉強しておくべきだろうか」と考えている人がいるかもしれません。
そこで今回は、そんな方々に役立つ、私なりの貿易の勉強方法についてお話ししたいと思います。
いきなり「通関士試験」の勉強を始めるのはお勧めしません
何故なら、通関士試験の内容は「貿易全般の仕組み」というより、「法律の勉強」だからです。
試験に出る「通関業法」や「関税法」などの条文は、何十年と日本語を使って生きてきた私ですら、2、3回読み返しても意味が分からないケースが多々ありました。
これから貿易を学ぼうとする皆さんにとっては、まず貿易の全体像や仕組みを理解してから通関士試験の勉強に取り組む方が、結果的に理解が深まるのではないかと思います。
まずは、貿易に関心をもとう
勉強の前に、まずは貿易という仕事そのものに興味を持つことが大切です。
先日、4月に入社した新入社員にコンテナ検査の現場に同行してもらいました。
検査場に行く途中、伊勢湾岸道の名港トリトンという巨大なつり橋から見渡せるコンテナターミナルは、まさに圧巻の一言です。
巨大な貨物船やガントリークレーン、積み重なる何百ものコンテナをみると、私は今でもワクワクします。
私がこの会社に転職したての頃、この景色をみて「自分が貿易の現場にいる。この会社に転職してよかった。」と胸が躍ったのを、新入社員にも経験して欲しかったのです。
就活生の皆さんも、まずはこうした「世界の物流を支える現場」のスケール感から、貿易への興味を膨らませてみてください。
焦らなくて大丈夫。まずは「貿易の基礎」から
焦る必要はまったくありません。今やるべきは、試験対策の暗記ではなく、「貿易の基本のキ」を理解することです。
書店に行くと、「貿易の基礎知識」など初心者向けの入門書がたくさん並んでいます。
我々は通関の専門家ですが、教えるプロではありません。やはり、分かりやすく体系的にプロがまとめた書物を読む方が圧倒的に早く理解できます。
おすすめの勉強法は、図書館で初心者向けの本を3冊くらい借りて読み比べてみることです。
どの本にも必ず共通して書かれている内容、それこそが貿易の一番大切な「幹(みき)」の部分です。その他は「枝葉(えだは)」と考えて後回しにして構いません。
お金の決済方法や保険、貿易条件(インコタームズ)の成り立ちなど、ルールにはすべて歴史的な理由を感じ取れます。
この「幹」が頭に入っていると、新入社員の方は日々の実務の理解スピードが劇的に上がると思います。
就活生の方も、面接で志望理由を自分の言葉で具体的に語れるようになるでしょう。
そして、その土台があって初めて、あの難解な法律や法律用語が頭に吸収できるようになると思います。
たとえ今年の試験に間に合わなくても、この夏にしっかり「幹」を作っておけば、来年の試験勉強で今の自分より、圧倒的な差をつけることができます。
難しい条文を睨みつける前に、まずは一歩引いて、貿易の面白い仕組みに触れてみませんか?